まゆげのゲームレビュー

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【閃の軌跡シノプシス】レビュー 第4回 閃Ⅱのストーリー<何となく収拾つけたように見せて何も解決していない折り返し地点>

※閃の軌跡シリーズのネタバレおよび悪口が含まれています。

※軌跡シリーズは閃のみプレイ済です。

※本記事の読了目安時間は15分前後です(約6900文字+図)。

 

こんにちは、まゆげと申します。

閃の軌跡シノプシスレビュー第4回は、閃の軌跡Ⅱストーリーです。

閃の軌跡Ⅱロゴ

 

※過去回はこちら。各回は独立しているため、今回だけ読んでも大丈夫ですが、ストーリーはⅠの続きです。

第1回導入編 第2回テキスト編  第3回閃Ⅰ編

 

一応シノプシスのレビューと銘打っていますが、あらすじ紹介+ゲームプレイ時の振り返りみたいな感じになっています。

 

閃の軌跡Ⅱのストーリー

序章

閃の軌跡Ⅱ 序章相関図

Ⅰでは、貴族陣営(領邦軍+帝国開放戦線+結社+猟兵)vs帝国政府(帝国軍+鉄道憲兵隊+情報局)という内戦が勃発したところで終わりました。
Ⅰのラストシーンから1カ月後、リィンは目を覚まします。

喋るようになったエマの飼い猫、セリーヌから情報をもらい、状況を整理します。
風景からどうやら実家の近くであることがわかり、道中でトヴァルNo.1の助けもありながらとりあえず帰省を果たします。

妹に励まされて活力を取り戻すのも束の間、(貴族陣営の)猟兵とクロチルダにより、地元が襲撃され、アルフィン皇女とエリゼが攫われます。

 

 感想
Ⅰのラストで撤退した後からしれっと始まります。

リィンは、既に成熟された人格を持ち、これまで周囲に影響を与える側として活躍してきましたが、ここで一転して強い無力感を味わっています。

Ⅰでは最初からメンバーが9人居たのに対し、リィン(+猫)の一人旅という構図も対比となっており、物語のいい導入になっていると思います。Ⅰでやれよとも思いますが。

 

この辺りから魔煌兵とやらがかませ犬としてわんわん出てきます。

セリーヌ曰く、魔煌兵は、騎神と関係のある存在であるらしく、起動者であるリィンを狙っているとのことです。

もちろんその設定が活かされることはありません。

そして、この辺りから全く正体を隠そうとしなくなるねこちゃん。

もはや正体を隠していた意味が何だったのかわかりません。

閃は、魔女勢がちゃんと情報を開示してくれればもっと色々がスムーズだったはずです。

 

ユミルについたリィンは自分のふがいなさに悩みます。

混浴の露店風呂で。

そして入ってくるは 妹エリゼ。

まじで理解できない。風呂あがってから話せばいいじゃないですか。

エリゼが毅然とした態度であればまだギリギリ許せますが、エリゼには完全に下心があります。

ここでエリゼが何を言ったかは忘れましたが、リィンは前向きになります。

そしてアルフィン(+猫)の乱入。きつい。

 

ちなみに、ここでリィンが卑屈になっていたのは、自分の出自がわからないことが大きな原因であり、自身の悩みを改めて知る機会となっています。

だからと言って、特にこれといった行動はしませんが。

 

そして皇女であるアルフィンが攫われますが、エリゼを攫う意味がわからんです。

これはリィンの動機付けのためなのでしょうか。

 

第Ⅰ部

閃の軌跡Ⅱ 第Ⅰ部相関図

灰の騎神の力により、リィンの仲間たちが生きていることを知ります。

さらに灰の騎神は特定の場所にワープできる『精霊の道』という移動手段を持っており、これを利用して仲間を探し始めます。

各地で仲間と合流しつつ、(リィンたちとしては不本意ながら)貴族(領邦軍)とやり合います。

仲間が再び集まりユミルでひと段落しているところに、再び貴族軍が攻め入り、リィンはパンタグリュエル(貴族軍の飛行艇)に招待されます。

 

感想
騎神の力が万能すぎます。

仲間が生きているか知りたい!と、領邦軍の包囲網をかいくぐりたい!をあっさり解決します。

確かにテンポはいいですし、他の設定に比べればましな部類かもしれません。
そして各地に散らばった仲間を探す、というのは個人的には好きな展開で、そのせいかⅠ部は楽しかったです。

ただ、実際のゲームでは、合間合間に挟まれる休息日(自由行動日)がテンポを悪くした印象です。

なぜそう感じたのでしょう。

例えば、ペルソナでは、目的に期日が設定されており、それ以前に目的を達成したら残りの期間は自由に行動できます。これについてテンポが悪いとは感じません。

両者の違いは自由度かと思います。

閃シリーズにおける休息日(自由行動日)は、全く自由ではなく、その時限りのクエストをやるかやらないかを選択させているに過ぎません。

プレイヤーが選択できる幅があまりにも少なく、やらされている感が強くなってしまい、結果、テンポ感にブレーキがかかるように感じたのかなと思います。

 

幕間

パンタグリュエルに招かれたリィン。

貴族連合軍は、灰の騎神を操るリィンは厄介な存在であるため、人質を盾に仲間になるよう持ち掛けられ、よく考えるように促されます。
パンタグリュエルでは、クロウの動機について知ることができます。

クロウの故郷であるジュライは、オズボーンの策略により帝国に吸収されたようです。当時ジュライの市長であったクロウの祖父は、罪を着せられたかのように糾弾され、辞職し失意のまま亡くなったようで、それがクロウの動機となっています。
自分が貴族軍に加担して内戦を終わらせられればエリゼを助けられると考えたところに、「エリゼを理由にするな、エリゼが願っているのは兄が自身の道を見つけることだ」とアルフィンに喝を入れられ、鬼の力を制御できるようになり、その力を用いてアルフィンを連れて脱出を試みます。
クロウ、結社の人間に追い詰められますが、カレイジャス(皇族の飛空艇)が助けに入り、脱出に成功します。

 

 感想

主に帝国開放戦線の面々の動機が知れる機会となっております。

謎だらけの敵さんが多い閃シリーズにおいて、これは貴重なことかと思います。

クロウの動機も賛否両論あるでしょうが、仇討ちの動機として理解できなくもなく、そもそも動機が明かされただけでも満足です。

また、行動理念が見えてきたことからか、この辺りからⅠではモブにしか見えなかったバンダナ先輩が少しずつ生き生きとして見えてきました。櫻井さんの声もいい。

 

一方リィンくんは。

リィンは、自身の中に眠る力を恐れており、幼い頃の記憶とその力の不可解さも相まって大きなトラウマとなっていました。

神気合一とはその克服の証です。

と見せかけて、開き直りレベルが上がっただけです。

出自や鬼の力の正体は何も解明されていません。

何にせよ、その重要な役目を担ったのはなんとエリゼの気持ちを代弁したアルフィン。

これは中々に賛否が分かれそうな演出です。

それにしても、ここまでで、鬼の力の制御に直接関わったのって、ヴィクターと(エリゼの気持ちを代弁した)アルフィンだけなんですよね。

どうしたⅦ組。


第Ⅱ部

閃の軌跡Ⅱ 第Ⅱ部相関図

カレイジャスで助けられたリィン。カレイジャスの持ち主は皇族であるオリヴァルト、艦長は貴族軍に属さないアルゼイドです。

彼らは帝国軍でもなく貴族軍でもない第三の勢力を称します。

そんなオリヴァルトから、これからどうしたいかを問われたリィンは次のように答えます。
『トールズ士官学院生として、自分の意思で行動し、少しでも現状を良くしてその流れでクロウと決着をつけてエリゼも取り戻す』
これになぜか納得したオリヴァルトは、リィン達にカレイジャスを譲ります。
リィン達はトールズ関係者の救出およびトールズ士官学院を奪還することを目的と定めて動き、エリオットの姉とアリサの母親、士官学院を奪還します。

当然その間の敵は貴族軍(+α)です。
それから、騎神の武器作りのために採集クエストを行います。

 

 感想
リィンの言葉はほんとに何なのでしょう。ほんとスカスカ。

手段は一切答えてません。その流れってなんやねん。このセリフはゲーム中ではカットされてます。

結果的にも取った行動は情報待ちでした。

 

それでも一応、Ⅱの中での目的を設定したのはかなりよかったです。

ゲーム中では、トワが「まずは大目標と指針を決めるべき」と言っています。

とてもいい言葉です。日本ファルコムにも言ってあげて欲しいです。


しかし、第三の道とか言うわりには完全に帝国軍の味方です。
そもそも皇族が中立というのはどういう理屈なのでしょう。
帝国が完全に立憲君主制なのか、皇帝も政権を持っているのかはよくわかりませんが、少なくとも皇帝は軍の統帥権を持っているようです。

また、皇帝はオズボーンの政治を許可している立場なわけですから、皇帝家も帝国政府側(貴族の敵)となり、つまり皇族の船であるカレイジャスも皇立であるトールズ士官学院も帝国軍の味方をすればいいのではないでしょうか。


終章

閃の軌跡Ⅱ 終章相関図

帝国軍から、帝都奪還の一環として、皇帝一家の救出を依頼されます。

リィン達は、第三勢力は本来帝国軍の味方はできない云々という謎のこだわりを見せますが、皇帝たちと一緒にエリゼ、マキアスの父親も囚われていることもあり、なんだかんだで快諾。

軟禁場所であるカレル離宮に向かい、その目的を果たします。
そして、ようやく敵さんたちも動き出します。

貴族軍の主宰であるカイエンは、250年前の獅子戦役で緋の騎神を起動させたオルトロスの末裔であり、祖先に代わり帝国を支配することを目的としていました。

皇太子であるセドリックとクロチルダの唄により緋の騎神が覚醒します。

それに伴い、バルフレイム宮は煌魔城に変容します。
クロチルダ(結社)の目的は、『幻焔計画』なるもので、その計画には煌魔城の出現が必要であったため、カイエンに協力しています。

カイエンからの見返りはお金です。

クロチルダのもう一つの目的は、クロウ(蒼の騎神)とリィン(灰色の騎神)を戦わせることにありました。
クロウは、大目的であるオズボーンへの復讐は終わっていますが、クロチルダへの義理も果たして内戦を見届けるみたいなスタンスです。
そしてリィンとクロウが戦い、リィンが勝ちます。
カイエンからすれば自身の陣営の負けを意味してしまうため、セドリックを無理やり緋の騎神に入れ、呪われた存在である魔王として復活させてしまいます(緋の騎神は大昔に暗黒竜の返り血を浴びて呪われています)。
魔王はなんとか倒しますが、その際にクロウは致命傷を負い、帰らぬ人となります。帰ってきます。
そして実はオズボーンの側近であったルーファスがカイエンを逮捕し、実はオズボーンも生きており、結社の『幻焔計画』の乗っ取りを宣言します。

さらに、オズボーンはリィンの実父であること明かした上で、リィンを(帝国側の人間として)内戦を終結させた立役者として祭り上げます。

そしてリィンはカルバード共和国への武力的牽制およびクロスベル占領に手を貸します。
リィンは政府の要請に応えながら学院1年目を過ごし、他のⅦ組メンバーはなぜか一足先に卒業していきます。
最後に旧校舎の異変が起こりますが、ストーリー上大きな意味は持たず、完全に蛇足なので割愛します。

 

 感想
Ⅰと同じく最終章でごちゃごちゃ色んなことが起きます。
初プレイ時は何が起きているかは全くわかりませんでした。
獅子戦役だとかオルトロスとか呪われた騎神とか何かどっかで聞いたけどそれ何だっけワードが飛び交い、とりあえず魔王っていうのがラスボスなんでしょ、わかったわかった、よし倒した、あれオズボーン生きてるやん、計画乗っ取るって何?っていうかそもそも幻焔計画って何?え、みんな卒業しちゃうの?という感じでした。

正直今もよくわかっていませんがひとつひとつ見ていきましょう。
リィンたちは、俺たちは第三勢力だ理論を展開しつつ、帝国の味方をし、エリゼや皇族を救出します。

 

ここでのクロチルダの行動は結構重要で、結社の目的に沿いつつも、疑似的に相克を行えるかどうかを試しており、物語の元凶である呪いに立ち向かっています。

閃ストーリーで、呪いに対して対抗策を講じたのはクロチルダだけです。

Ⅶ組を作ったオリヴァルトや、ミルミラージュの段取りをしたミュゼも評価できるのですが、直接的な解決策ではありません。

個人的に、クロチルダのこの行動は閃で一番評価したい部分です。

が、やはり謎は多いです。

ひとつは、クロチルダがロゼやエマに何も相談しなかった点。

もうひとつはこの時の結社の動きです。

この時の結社(+西風)は、クロチルダに同調しており、その目的はクロウとリィンを戦わせることにあります。

それなのに西風とか他の結社のメンバーが邪魔してきます。

どうぞどうぞと道をゆずればいいはずです。

Ⅳでは相克のためには場を盛り上げるため闘争のエネルギーが必要とか言って、茶番イベントがありましたが、それと同じことなのでしょうか。

しかしそういった描写はありませんでした。

 

カイエンや魔王は、帝国から見れば重要とも言えなくもないのですが、やはりピエロ、ストーリーの大筋から見ればさほど重要ではありません。

そして、リィンはクロウと決着をつけ、閃Ⅱでの目的は全て果たします。

クロウは自分でも言っている通り、オズボーンと同じように胸に風穴を空けて絶命します。

何だかんだ言っても人を殺してますから報いを受けたということでしょう。

さらに、実は生きていたオズボーンの存在が一層悲劇を盛り立てます。

Ⅲ以降、クロウも不死者として再登場しますが、それは物語の展開の一つであり、個人的にはそれはそれでよかったと思います。

不死者の定義というか仕組みについて説明がなかったのは不満ですが。

 

そしてオズボーンが出てきて幻焔計画の乗っ取りを宣言。

これはまじでもうほんとわからないです。

計画を乗っ取るってどういうこと?

オズボーンが何かを手に入れたわけでもなさそうです。

全然ピンときません。

もちろん幻焔計画も何のことかわかりません。

Ⅳ終了時にはなんやかんやで完了したことになっていますが、何も名言はされていません。

恐らくは至宝の衝突によって生まれた巨イナル一を見ることなので、オズボーンの乗っ取り宣言によってそれが叶わなくなるわけでもないと思うのですが。うーん、わからん。


そして貴族軍の敗北により内戦は終結しますが、リィンはオズボーンのいいように利用されてしまい、リィンもそれに抗う描写はありません
リィンはオズボーンの駒にされ、Ⅰで問題提起されたままである貴族と革新派の対立は何も解消されていません。

 

今こそⅦ組はどうするべきか!

 

リィンを残して卒業しちゃいました。

 

えーーー!!!!!!

まじでそれはどうなの。リィンくん一人やん。何それぞれの道を歩むって。

それっぽい理由つけて卒業する前に今まさに課題が見えてるんちゃうんか。

 

最後のとってつけたような裏の試しとやらでお茶を濁そうとしているのが、またいやらしく感じます。

 

という訳で閃Ⅱストーリーの振り返りは以上です。

ここからがストーリーのレビューになります。
閃Ⅱのストーリーが面白いかどうかを評価します。

とは言っても面白さを適切に評価するのはやはりかなり難しいので、いくつかポイントっぽいところを取り上げて感想を言うだけになっちゃいます。

 

主人公リィンの目的は達成できたか 

閃の軌跡Ⅱ リィンのプロフィール

トラウマを乗り越えた…? 危機を回避した…?

                                   日本ファルコムのHPより引用

閃Ⅱで掲げた目標は、仲間や身内の救出、トールズの奪還、クロウとの決着でした。

それらは達成されましたね。おめでとうリィンくん。
また、俺は俺だ理論に磨きがかかり、鬼の力をコントロールできるようになりました。

これも一歩前進と捉えていいでしょう。

しかし、出自や鬼の力の正体は未だに謎です。
最後に自身の道は見出せたのでしょうか。

もちろん見出せていません。

というかオズボーンの飼い犬にみたいになっちゃいました。

 

帝国の抱える問題は解決されたか

Ⅰの最後で勃発した問題である内戦は終結しました。
しかし、元々の問題である貴族と平民(革新派)との対立構造は変わっていません。

恐らく、この部分はあまりポイントではなかったのでしょう、たぶん。

 

謎は解けたか

解けた謎というと帝国開放戦線絡みでしょうか。クロウ、S、Vの動機とかですね。

リィンの出自や鬼の力、結社の目的、幻焔計画、オズボーンの目的などわからないことだらけです。

まとめ

Ⅰラストで起きた問題に対しては一応の決着がつきましたが、呼ばれた仲間を倒したけど仲間呼ぶやつは倒してないという状況で、つまり根本的な解決はされておりません。
敵味方含め行動原理がよくわからない人ばかり、ストーリーも謎だらけです。

Ⅳまでやれば意味がわかる展開もあるものの、矛盾点も見られ、やはりすっきりしません。

ⅠとⅡがセットになっていればある程度まとまって見えたのでは?と思っていましたが、別にそんなことはありません。

要所要所で面白く感じる部分があるのは確かですが、不満がそれを大きく上回ります

 

これで閃Ⅱストーリーのレビューを終わります。

投げやりなレビューになってしまいましたが、次回の閃Ⅲレビューはもっと投げやりです。