※閃の軌跡シリーズのネタバレおよび悪口が含まれています。
※本記事の読了目安時間は5分前後です(約2800文字+図)。
こんにちは、まゆげと申します。
閃の軌跡 シノプシスレビュー 第6回は
カタルシスを得ることが出来るボス戦か?
です。
※過去回はこちら。別に読まなくても大丈夫です。
RPGにおいて、ボス戦とはプレイヤーにカタルシスを得てもらうための絶好の機会です。主人公の行く手を阻む者がいて、乗り越えるのが困難で強大な壁であるほど、倒したときの達成感もまた大きなものとなります。
閃の軌跡では、どのようなボスキャラを用意して、その結果がどうなったのか?というところを見ていきたいと思います。
まず私の結論を先に言います。
カタルシスを得ることができるボス戦ではありません。
原因は4つ
・倒せるボスの大半は意思を持たない獣、兵器の類
・倒せるボスの出現が唐突
・倒したい敵は倒せない
・ボス戦後のマンネリ助っ人展開
まず全体的に見てみると以下の通りです。
ひとつずつ項目を見ていきます。
一作品につき、50戦前後のボスバトルがあります。
一応、参考までに比較するものを少し調べてみました。
ドラクエ11 44戦 お、閃と同じくらい?
スターオーシャン2 24戦 多いかと思ったら少ない、結構苦戦したからかな…
FF6 60戦 これは予想通り多かった
思ったより作品毎に異なるものですね。
正直、ボス戦が多いか少ないかは意識したことがないですし、ボス戦の数そのものが直接作品の良し悪しに影響を与えるわけでもなさそうです。
次からが問題ですが、ここで、Ⅰ~Ⅲの詳細図を載せておきます。
図中のボス名は色分けして表記しています。
倒せていれば青字、茶番イベントは黄字、事実上の負けは赤字で表記しています。
また、図中の吹き出しは助っ人関連です。
これらに注目して、それぞれの図をぼーっと眺めてみてください。
ざっと見ていただけたでしょうか。それでは、ひとつひとつ見ていきたいと思います。
ボス戦のうち、相手を戦闘不能にした(=青字)のは147戦中79戦で、そのうちの75戦は明確な意思を持たない獣や兵器、モブ兵士の類です。
この中で更に特に重要な位置付けであったボスに焦点を当ててみます。
Ⅰのボーンゴーレム(暗黒竜の骨)、ロア・エレボニウス、Ⅱのエンドオブヴァーミリオン、ロア・ルシフェリア、Ⅲの神機3体、暗黒竜くらいでしょうか。
さて、これらのボスを倒してカタルシスを得られたでしょうか。
私は得られませんでした。
その原因のひとつは、いずれのボスも出現が唐突であったことです。敵がどれだけの脅威を持っているかを理解する前に戦闘が始まり、気が付けば敵が退場していきます。
出現が唐突である、というのは、(キャラクターではなく)プレイヤーとその敵との因縁がない、ということです。
そもそも閃に出てくる魔獣という存在はその存在意義がかなり少ないです。
何となく危険な存在っぽいということしかわかりません。
確実にはびこってはいますが、人の生活が魔獣に脅かされているシーンはありませんし、人も特別強い危機意識を持っておらず、政府や軍も対処を優先しているようには見えません。
ただ主人公たちが倒すことのできる都合の良い存在ということでしかありません。
魔煌兵、幻獣も全く同様です。脅威度は増していますが、メインストーリー上ではかなりどうでもいい立ち位置にいます。
つまり、倒せる敵というのは、ストーリーの大筋からは外れた敵であり、よっぽど倒したい敵が他にいると言い換えることができます。
はっきりと勝てた敵で、かつ明確な意思を持つキャラクターは、S(Ⅰ)、S(Ⅱ)、V(Ⅱ)、クロウ(オルディーネ)(Ⅱ)の4戦のみ。帝国開放戦線の面々ですね。
Ⅲに至っては勝っていません。
もう一度言います。勝っていないんです。
例に出したRPGでも、主なボスモンスターは魔物の類ですが、要所要所で重要な敵と戦い、勝利します。
ドラクエ11で言えば六軍王、FF6で言えば八竜や三闘神、スターオーシャン2なんかは十賢者全員とちゃんと決着をつけます。
どれだけ滅びの風をその身に受けたことか。苦労しました。
書いてて思ったのですが、敵集団に数字が入ってるとすごくいいですね。
無意識のうちに敵戦力の規模がわかりますし、残る障害の量、物語の進行度にも意識づけがされます。使い古された表現とはいえ、多くのメリットを感じます。
閃の軌跡も、第四機甲師団とか、執行者ナンバーとか守護騎士第八位とかあるのですが、ナンバリングのみです。数字が入った唯一の組織は十三工房くらいでしょうか。
全体像が見えないというのは知らず知らずのうちにストレスになっているのかもしれません。
そして最後、これが最大の欠点でしょう。
倒したい敵が倒せない問題です。
事実上の負け(=赤字)はなんと48戦。
対人(明確な意思を持つキャラクター)戦の成績は、52戦4勝48敗です。
鬱積が多ければ、それが解放されたときの快感もまた大きくなるので、負けイベントが悪いことだとは思いません。しかし、あまりにも勝てない。相手は全く痛い目を見ていないのです。常に余裕。
痛い目を見せたいからがんばるのです。
二股かけたクロちゃんが痛い目を見ることを期待してモンスターハウスを見るのです。思ったほど痛い目見ませんでしたが。
そして、負けてしまうと話が進まなくなってしまうので、状況を打破するために用意されたのが助っ人展開です。
が、やはりこれもワンパターン。
Ⅰで2回、Ⅱで11回、Ⅲで11回あります。
2,3回くらいならいいと思います。
ピンチに仲間が助けにくる。王道の熱い展開です。私も大好きです。
しかし、人は刺激に慣れ、飽きてしまいます。
笑ってはいけない24時と同じで、面白いけど面白くない。大いなるマンネリというやつです。
Ⅰのころのクレア、ルーファス、レクター、オリヴァルトなんかは武力的に介入するわけではなく、己の職務と権限をもって事態を収拾させていたので好印象なのですが、Ⅱ以降の助っ人展開はなんか有耶して無耶して二つ合わさって有耶無耶にするだけです。
カタルシスを得るはずのボス戦なのに、逆に鬱憤が溜まるだけのボス戦。
キャラクターを死なせないというのは、結構なこだわりで、それは全く構わないと思います。ただ、ストーリー上少しも戦闘不能にできないというのはいかがなものか。
Ⅳでは結社の人間以外は一応倒せるには倒せるんですが、生ぬるい。
鬱積が大きすぎて満足できませんでした。
結社の人間、特にカンパネルラとマリアベルはぴんぴんしてますし。
次回作では是非泣くまでひっぱたいてほしいところです。
以上で、第6回カタルシスを得られるボス戦か?のレビューを終わります。
次回で最終回です。