※閃の軌跡Ⅳのネタバレはほとんどありません。購入の参考になるかもしれません。
※本記事の読了目安時間は15分前後です(約7600字)。
こんにちは、まゆげと申します。
本日は閃の軌跡ⅣのAmazonレビューのレビューをしていきたいと思います。
シリーズもののため、閃シリーズとの比較表現が多めになっています。
前回まで(閃Ⅰ、閃Ⅱ、閃Ⅲ)と同じ前置きをしています。本題に早く進みたい方は目次から『Amazonレビューのレビュー』の項をクリックしてください。
趣旨
Amazonレビューをまとめることで、評価点と不評点を洗い出し、☆の数だけではわからないユーザーの意見についてレビューするというものです。また、Amazonの評価値は作品を適切に評価しているかについても言及します。
ネタバレや固有名詞は極力排除しておりますので、購入を検討している人も安心して見ることが出来ます。
そして、プレイヤーがどのような評価をしているのかを、数字とグラフで改めて共有することが出来ます。
Amazonレビューのまとめ方
評価項目
評価項目は、ゲームを構成する(であろう)6つの大項目と、それを細分化した小項目を設定しています。それぞれの項目は互いに影響し合うため、厳密に分けることは難しいのですが、レビューの内容からより近い項目を判断して仕分けています。
なお、今回は、閃の軌跡について取り扱うので、騎神戦と絆システムの項目を入れてあります。
加点減点基準
レビュー内容を前項の評価項目に照らし合わせ、肯定意見はプラス1ポイント、否定意見はマイナス1ポイント
『(従来作品から)改善された』といった表現はプラス1ポイント
『気にならない』、『許容範囲』、『我慢できるレベル』といった表現はノーカウント
『面白い』、『システムが悪い』など具体的に何を指すかわからない場合はノーカウント
評価項目にない意見は対象外(例えば、プラットフォームに不満があるなど。それでも98%くらいの意見は反映されていると思います)
一つの項目に対し、ここがよくてここがダメという書き方の場合、プラスマイナス両方に1ポイントずつ
一人が一つの項目に対して複数回言及していても、最大で±1ポイントまで
声の大きい人の意見に耳を傾けすぎない分、その人の真摯な想いも反映されにくい集計方法になっています
『グラフィック』と『演出』や、『やり込み要素』と『ボリューム』など互いに作用する項目は、本質が近いほうに票を入れています。また、テンポ感と言っても、ロード時間によるものなのか、会話の長さによるものなのか、ひとつひとつの戦闘の長さなのかにより変わります。これも言及の仕方によりどこにポイントを入れるかを都度判断しています。複数カ所に入れることもあります。
評価値は、意見の合計数に対する割合で示すべきですが、それはそれで数字が細かくなるため、直観的にわかりやすくするためにそのままの値を用いています。また、一つひとつの評価値はすべて均等な値として扱っています。
本集計方法が、必ずしも作品の正しい評価に繋がっているわけではないのであくまでご参考程度に見ていただけると幸いです。
Amazonレビューのレビュー
タイトル基本情報
タイトル:閃の軌跡Ⅳ
発売日: 2018/9/27
プラットフォーム:PS4
レビュー状況:
評価3.0 (閃Ⅰ 3.4、閃Ⅱ 3.2、閃Ⅲ2.9)
星評価で見るとシリーズ通してあまり変わっていないように見えますがその実態は…。
Amazonレビューのまとめ
・評価合計値とAmazon評価
全項目の合計値はマイナス227ptでした。Amazonの☆評価は3.0ですので、めちゃくちゃ甘い評価と見れそうです。っていうか皆全然ほめてないやん。
閃シリーズの順位はこうなりました。
1位 閃Ⅱ マイナス22pt
2位 閃Ⅰ マイナス27pt
3位 閃Ⅲ マイナス130pt
4位 閃Ⅳ マイナス227pt
それではシリーズ最下位をたたき出した閃Ⅳのレビュー内容を見ていきましょう。
・レビュー熱量(意見総数÷レビュー件数)
肯定否定合わせた意見総数は885です。レビュー件数の250で割ると、1人当たり平均3.5項目について言及していることになります。レビュー件数はⅢに劣るものの、この値はシリーズ中トップの熱量を誇ります。
ちなみに、星5つの人口割合が多く、レビュー内容は薄いのではないか?ぶっちゃけ工作しているのでは?という疑問があるかと思います。そこで、星毎の言及数の割合も見てみましょう。
星5つ 20.8%(-3.2)
星4つ 13.7%(-1.7)
星3つ 19.1%(-0.9)
星2つ 28.6%(+3.6)
星1つ 17.9%(+1.1)
※括弧内は言及数割合-レビュー人口割合
分布の形はほぼ同様です。星5つの言及数がやや少ないとも見えますが、低評価側の人たちの熱量が高いために相対的に言及数が少なく見えているのかもしれません。また、グラフより、星5つ(青)であっても否定意見を示しており、星5つ評価だからといって具体性に欠けるレビューをしているわけではないと思われます。
・評価されている項目トップ3
1位 過去作との繋がり +29pt (前作好評3位 +34pt)
旧シリーズの歴代主人公達 を始めとして、多くの人気キャラクターが登場したことが一番の要因でしょう。シリーズをまたいだキャラの交流と、成長した姿に喜んだファンが多いことがうかがえます。否定意見も少ないことから、閃から入った人を置いていくような展開はなく、問題なく遊べていることも示していると思います。
2位 エンディング +28pt (前作不評1位 -89pt)
Ⅲの不評1位の項目でしたが今作では好評2位です。エンディングがいいならストーリーがよかったということでは?と思うところですが、ストーリーは不評3位です。どういうことか意見を見てみます。肯定意見として、『主人公の笑った顔が見れた』、『EDのイラストがよい』等、否定意見として、『語ってしかるべき内容を語っていない』『ノーマルエンドを必ず経由する必要がある』等です。つまり、必ずしも物語の終着点として評価されているわけではなさそうです。ひとつのシリーズが一応の区切りを見せたことから、終わったこと自体を評価する声も多く、そういった想いも反映されているのかもしれません。
3位 ボリューム +14pt (前作 +4pt)
『長時間楽しめる』といった意見で評価されています。この項目はメインストーリーはもちろん、サブイベントやミニゲーム、その他やり込み要素を包括したような項目です。しかし、イヤな言い方をするとそれらの項目が評価されているというわけではなく、結果として長く楽しめるよということです。意見を拾ってみます。
サブイベント ±0pt
『ボリュームがある』、『お使いが多い』、『時限イベが多い』
やりこみ要素 +1pt
『後日談が欲しい』、『2周目要素がない』、『時限要素が多い』、『クリア後にゆっくり出来るものではない』
ミニゲーム +2pt
『報酬のために長時間プレイするのがつらい』
否定意見ばかりになってしまいましたが、否定意見のほうが具体的に書いてくれる傾向が強いためです。『よい』と言っている人も同数以上います。
・不評だった項目ワースト3
1位 セリフ・テキスト -72pt (前作不評3位 -58pt)
堂々のワースト1、もはや魔王のような存在感です。セリフ・テキストが悪いゲームって中々ないですよね。肯定意見としては『モブキャラ一人ひとりのセリフ変化』、否定意見はⅢの時とほぼ同様ですが、せっかくなのでたくさんご紹介してみます。
個人的には100%同意です。プラス評価が極めて少ないことも見過ごせない点です。これがいいんだ、と言っている人は極々わずかであること、また、心に残るセリフがないことも示していると思います。改善の余地しかない項目であることはⅢの時点で明白でしたが、Ⅳになって更に悪化したことは多くのファンを失望させたことでしょう。
2位 表現・演出 -62pt (前作不評5位 -26pt)
そしてこの項目。テキストとタッグを組むことで前代未聞の凶悪さを発揮、多くのプレイヤーたちを奈落の底に叩き落しました。
うんうん。そろそろ私も我慢できなくなったのでひとつ。個人的には一番の問題は『全く動きが無い』という点かなと思います。
キャサリン・フルボディから一コマを見てください。
各キャラクターが思い思いの恰好でくつろいでいますね。飲みの席で談笑しているシーンということが一目で分かります。特に注目すべきは左下の金髪、トビーくんです。彼はこの中では唯一の後輩ですが、浅く腰掛けて椅子に寄りかかり、大股開きでポケットに手を突っ込みながらビール片手に先輩たちの話を聞いています。緊張や遠慮など微塵も感じさせませんが、目線はしっかり3人の方を向いています。これらのことからセリフなどなくても気の置けない関係だろうということがよくわかります。
それでは続いて閃Ⅳを見てみましょう。
ボートの上で面接しているシーンではありません。膝の上に軽く手を置いて背筋ぴーんして談笑しています。これは動きが無いと言われても仕方ないでしょう。
実は手前の茶髪くんは、トビーと同様に、少し崩した座り方をしていますし、他のキャラも時には腕を組んだり腰に手を当てたりします。しかし、それもキャラ特有ではなく使いまわしです。演出の悪さの根幹はこういったところかなと思っています。さらに大元の原因はキャラが多すぎて個々のモデリングを凝れないからで…と脱線するのでこの辺りで次に行きましょう。
3位 ストーリー -58pt (前作不評2位 -72pt)
極め付けはストーリーです。肯定意見が49票ありますので、賛否分かれているのがせめてもの救いでしょうか。
肯定意見
『多くの謎が解明される』、『帝国編として話に決着がつく』
否定意見
『ワンパターンの展開』、『命の重さを感じない』、『残された謎も多い』、『プレイ時間の割りに内容が薄い』、『Ⅱと展開が同じ』、『肩透かしをくう展開が多い』、『茶番』
言うまでもなく、ストーリーと演出とテキストは相互に影響しあいます。ある意味必然のワースト3なのでしょう。Amazonレビュアーさん達に完全同意です。
何も擁護できませんが、唯一最大の救いはやはりエンディングなのかもしれません。
・その他レビューの傾向
ワースト項目でお腹いっぱいでしょうけど、デザートもどうぞ。
戦闘 +6pt
毎回比較的高い評価を保ってきた項目です。バランス面が悪いといった意見とセットであることが多く、評価自体はやや落ち込みましたが、システムは改善されたという声もあり、決して不出来ではないでしょう。
ちなみに騎神戦は-7ptです。一部の人からはとても不評で、私も超否定派なのですが毎回言及は少ないです。それなりに受け入れられているのかもしれません。
音楽 +5pt
戦闘と同じく毎回プラス票を取っている項目です。高評価とする声は多いのですが、それに迫る勢いで否定意見も見られます。悪いと言っているわけではなく、『使いまわしが多い』、『従来と比較すると好みではない』など、過去作を超えられていないとする声が多数を占めます。
ロード時間 +2pt
Ⅲでは過去作の汚名を返上する快適さで+50ptを獲得し、堂々の好評1位だった項目ですが、今作ではそもそも言及がほとんどありません。同水準を維持しており、ロードを感じさせなかったと見れば論点にならなかっただけであり、隠れた高評価ポイントであるとも考えられます。
キャラクター -3pt
ストーリーがあれだけ低評価であれば、それを紡ぐ役割であるキャラクターももっと低評価であっていいような気がしますが、肯定と否定がほぼ半々です。数字以上にキャラの評価は高いような気もします。
肯定意見
『シリーズを通じて成長したキャラが見れる』、『過去作含め魅力的なキャラが多い』
否定意見
『キャラが多すぎる』、『キャラの掘り下げが少ない』、『説明キャラがいない』、『やたらと互いを褒め謙遜する』、『キャラの行動に一貫性がない』
絆システム -23pt、恋愛要素 -25pt
どのように割り振るか悩むことが多かった項目なので併せて紹介します。
肯定意見
『キャラの掘り下げがされた』、『ハーレム最高』、『ギャルゲーのようで楽しい』、『好きなキャラを落とせる』、『落とせるキャラが増えた』
否定意見
『絆システムにより人間関係に違和感が生まれている』、『カップリングは製作側で決めてほしい』、『ギャルゲのようでいやだ』、『恋愛要素はいらない』、『登場人物の関係性が薄っぺらく見える』、『主人公の性格が歪められているように見える』
この項目は非常に特殊で、キャラの人格やキャラ同士の関係に直結し、ファンの思い入れも色濃く出る部分であるため非常にデリケートな部分だと思います。このゲームに求めているものの違いによって意見は分かれるかと思いますが、否定意見が大多数を占めています。このシステムにより何をしたいのかという思惑が感じられないことと、こういった論争が起きるであろうことを想像できないのか無視しているのかわかりませんが、そういったデリカシーの欠如みたいなのが反感を買っているような気もします。
テンポ感 -18pt
Ⅰ~Ⅲのレビューでは、テンポ感についての意見はほとんどありませんでした。しかし今作ではセリフ・テキスト・演出の悪さを始めとし、色んな項目に関連してテンポ感が悪くなっていることを指摘する声が急増しています。 テンポを悪くしている項目として、『絆システム』、『ワンパターンの演出』、『キャラがひとりひとり喋る』、『イベント間のロード時間』、『騎神戦』、『敵が固い』、『モーションが固いためスピード感がない』等が挙げられています。
閃Ⅰ改、閃Ⅱ改の高評価っぷりから見るに、テンポ感は極めて重要です。テキスト・演出問題はそれ自体も大きな問題ですが、こういった要素にも飛び火するため、本当に致命的な問題となりかねないでしょう。
オープニング -16pt
Ⅲのときは肯定0票でしたが、今作では肯定1票です。やったね。ってばかやろう。
前作と全く同じ過ちを犯したと言っていいでしょう。
グラフィック -11pt
前作では好評2位だった項目です。前作からグラフィックが劣化したわけではありません。しかし否定票が上回っています。つまり、現状維持は手抜きと見られ、マイナス評価に繋がるということかもしれません。
ダンジョン・マップ -16pt
なんと肯定0票です。『単調』、『謎解き要素が少ない』、『Ⅲの使いまわし』、『無駄に広い』等です。これもまた今までほとんど触れられてこなかった項目です。隠れた不満点として抱えていたものをシリーズラストということで吐き出しているようにも感じます。それは考え過ぎでしょうか。
閃の軌跡Ⅳはどう考えてもおすすめできない…が…
あくまで客観的に考察するつもりで書いた記事でしたが、大分個人的意見も入れてしまいました。それではまとめに入ります。
明らかに否定意見が勝っているにも関わらず☆評価は3.0です。この乖離は一体何なのでしょう。
一つは、人によって項目毎の配点が違うということでしょう。シティハンターのEDでGET WILDが流れれば+1億点の加点が付くように、全ての項目が同じ価値ではありません。
二つ目は言うほど評価していないわけではないのだと思います。もちろん、悪いところを挙げればキリがない上に一つひとつのパンチ力は凶悪ですが、決してクソゲーではありません。前作では評価されている部分で評価されていなかったり、もしろ低評価になっていたりする部分も多く見られました。現状維持ではユーザーは満足しない、つまりは停滞は衰退、という言葉が示す通り、常に変化が求められることを考えると少しは同情もしたくなるものですが、言葉通りただ否定しているわけではないのでしょう。
三つ目はシリーズ最後の作品であることです。Ⅳのレビュー内容はこれまでとは少し様子が違い、今まで触れてこなかったことについても否定的に言及されるケースが多く見られました。「あ、これで終わり?じゃあ言わせてもらうけど」みたいな感じでシリーズを通しての感想も含める方も多く、溜まっていた不満の吐き出し口としては最適だったのかもしれません。
最後は期待の裏返しでしょうか。ファンはシリーズが積み重ねてきた歴史をリスペクトしており、それはもはやメーカーだけのものではありません。そこに胡坐をかいてゲームを作る上で大事にすべき部分がないがしろにしている、そういった姿勢みたいなものに対して異議を唱えているのであって、ゲーム(というか軌跡世界)自体に罪はないという考えがプラスされ、結果的にトントンの評価になっているのかもしれません。それでもやっぱり甘い評価だとは思いますが。
と言う訳で、Amazonレビューから見ても客観的におすすめできる感じではなく、もちろん私個人としても全然おすすめしません。決しておすすめしませんが、逆にもう楽しくなります。閃Ⅲまでやったのなら最後まで突っ走ってみましょう。テキストに関しては銀河ギリギリ ぶっちぎりの凄い奴ですし、ストーリーもとてもじゃないですが良い出来とは言えません。しかしゲーム部分は何だかんだ楽しめますし、不本意ながら最近プレイしたヴェスペリアよりなぜか閃Ⅳのほうが楽しかったです。色んな人から反感買いそうですが、ガンツみたいな感じです。ガンツってなんと全37巻なんです。連載期間なんと13年。隔週連載でかつ休載も多く、常に話が進まねーってボヤいてた気がします。その終わり方でいいの?みたいなところありましたが、改めて一気読みすると止まらなくなって、終わり方も、まぁ別にいいか、うんよかったねみたいな感じになるじゃないですか。そんな感じです。
最後のマンガに例えるやつ、毎回しっくりこないなーと思いながらも続けちゃいました。やはり考えのないワンパターンというのはよくないです。