※本記事の読了目安時間は約10分です(約5500字)。
こんにちは、まゆげと申します。
コードヴェイン体験版のレビューを行いたいと思います。
簡潔に言うなら、当たり判定の雑さとその対策が不明瞭であることや、細かい粗は目立つものの、試行錯誤の幅が広く、プレイに没頭できる作品なのではと思います。
ダメダメな部分が見えているのは間違いなく、プレイした最初の1~2時間くらいは買うのはやめようかと思いましたが、体験版にしてはボリュームが多く、何だかんだ楽しんで4時間くらいプレイしていたため、私は買うことに決めました。
ゲームコンセプトと内容はかみ合っているか
オフィシャルサイトにちゃんとコンセプトの項があるだけでも好感が持てます。
キーワードとしては、『強敵と危険』、『バディ』、『ドラマティック探索アクションRPG』、『未知の光景』のようですが、これだけ読むとプレイヤーに何を感じて欲しいかはいまいち伝わってきません。というのも、『未知の光景』というのがストーリー上のドラマなのかボス撃破時のプレイヤーの心象風景なのかはたまた映像美なのかわからないからです。
まぁそれはそれとして、各キーワードとゲーム性を見ていきましょう。
強敵
強敵(ボス)は非常にわかりやすく作られています。敵の攻撃は、発生が早く、 高火力であり、ホーミング性能があり、攻撃範囲も広いです。とにかく高性能技のオンパレードです。また、エフェクトが強く、単純に画面が見づらく当たり判定や持続がかなりわかりにくいです。
危険
探索中は雑魚敵の死角での待ち伏せや複数体からの奇襲などの危険があります。もちろん雑魚敵も高火力広範囲技を持っていますので結構死にます。
また、探索中は穴が結構あったりして落ちると死にます。
つまり、プレイヤーを殺すための仕組みはきっちり整っています。
バディ
強敵と危険に立ち向かうための存在がバディです。本作は基本的にはツーマンセルを推奨しているらしく、売りにしているポイントでもあるでしょう。
バディは使えるけど使えない
バディは固有のステータスとスキルを持ち、独自の考えで行動します。ちょっとした雑魚敵くらいなら放っておいても勝手に倒してくれますし、プレイヤーが死んだときに蘇生をしてくれることもあります。
しかし、AIあるあるなのか見え見えの大技を平気で食らったりします。一応、バディは、プレイヤーがガードすれば1秒程度遅れてガードを取ります。
これは発生の遅さからして使いにくいですし、ガードそのものが防御行動として弱いですし、というかせっかくターゲットから外れているのにガードしなくてはならないのであれば何のためのバディやねんということになるので意味不明な仕様です。
これ以外に指示らしい指示はできません。例えば、遠距離から支援して欲しいとかガードに専念しろとか吸血攻撃はするなとかいった指示ができないのです。バディとの共闘が売りでありながらAI任せなのは少し残念です。
また、これはカメラの問題でもありますが、バディが視界を遮る要因になってしまっています。
アクティブボイスが頻繁に入り、敵が待ち伏せしているのを教えてくれたり、プレイヤーの体力状況を気にしたりしてくれます。ボスに負けた後は励ましてくれます。これが意外と悪くなく、相棒感の演出に貢献しています。が、やはり今一つ足りないと感じるのは具体的な対策については一切ヒントをくれないことです。
魅力的なキャラたち
とは言いつつ、バディとして一緒に戦ってくれるキャラは、先述のアクティブボイスなどによって意外と親近感が得られます。ビジュアルもいいですね。荒廃した世界ではあるものの意外とみんなキレイな恰好をしています。
と思いきや手前の女の子はぼろぼろ。何と言っても裸足ですからね。正直違和感がすごい。誰かどうにかしてあげろよ。
ぼろぼろ裸足白髪と言えばゴッドイーターのシオを思い出します。
ゴッドイーターチームはぼろぼろ裸足白髪が好きなんでしょうか。彼女は一応ぼろぼろ裸足たる理由がありましたし、イベントでこぎれいな服を作ってあげたような気がしますがコードヴェインのぼろぼろ裸足白髪ちゃんはまともな恰好になる日がくるのでしょうか。話がずれました。
バディは攻略の手段とはなっていない
バディについてプレイヤーが選択できるのは誰を連れていくかのみです。攻略の一助になるのは間違いありませんが、プレイヤーの意思やスキルを反映させる要素とはなっていないように感じます。つまり、ゲームの攻略はやはりプレイヤーの操作が肝になりそうです。
ドラマティック探索アクション
最後のキーワードは『ドラマティック探索RPG』です。ひとつのキーワードと言っても要素もりもりのため分割して考えます。
ドラマティック
ドラマティックというのは、強敵うんぬんはひとまず置いておいて、ストーリーも重視しているという意味と解釈します。ややこしそうな世界観かと思いきや結構話はわかりやすそうです。というのも、冒頭でプレイヤーは次のように言われます。
世界を救って
まるで30年前のゲームかと思えるようなセリフでこのゲームの大目標を提示されます。昨今、小難しいテーマが多かったり、そもそも目的がはっきりしないゲームがある中でのこのセリフは個人的には非常にポイント高いです。
このゲームのドラマはプレイヤーにどのような風景を見せてくれるのでしょうか。それについてはさすがに製品版をプレイしないとわかりませんのでここまでにします。
探索
このゲームはダンジョンを探索して、最奥にいるボスを倒して先に進むというステージ攻略型です。探索(ダンジョンの攻略)そのものが目的でもありますが、ここでは探索をすることでどのようにボスの攻略に役立つのかを見てみます。
ダンジョンには様々なアイテムが落ちており、いいものを拾うとバディがいいリアクションをしてくれます。スクショは回復薬所持数の上限を増やすアイテムと回復量を増やすアイテムです。なるほど、確かに隅々まで探索するメリットはありそうです。
しかし、リターンは魅力であるものの探索そのものに面白さは少ないように感じます。
マップは適当に枝分かれしているだけで、各場所の繋がりは少なく、立体的な地形や面白ギミックなどはありません。また、混戦になりやすく画面外からの攻撃は当たり前です。一撃が非常に重いゲームであるため、複数体を同時に相手することは避けたいところで、例えば、敵に見つからないように道順を考えたり、効率よく敵を排除したりすることを考えますがそういったマップデザインであるとは思えません。何故なら、選べるルートが限定的かつ道が細くて発見されやすいのと、発見されないために歩くと著しくゲームテンポが悪くなります。
少なくとも体験版においてはプレイヤーにどのように探索して欲しいのかがイマイチわかりませんでした。
もう一点、地図がノースアップ固定できない(=カメラ操作と一緒に地図が回転する)ので地図が見にくくて仕方ありません。
まとめると、探索のメリットはあるけど面白味に欠けるということになります。
アクション
理屈で言えば、バディがいなかろうが、探索が不十分だろうが、後述のRPG的成長をしなかろうがアクションでミスらなければゲームを攻略できるはずです。つまり、このゲームの最重要項目です。
主な行動は、歩き、走り、ダッシュ、回避、ガード、弱攻撃、強攻撃、吸血攻撃、受け流し、練血(スキル)になります。
コードヴェインの敵は強く、闇雲に攻撃してもそれこそ秒で返り討ちにあいます。つまり、このゲームを攻略する=敵の攻撃に対処できるようになる、ということであり、対処できるようになった時とその過程に面白さがあるべきで、防御手段をプレイヤーが適切に選べるよう誘導するレベルデザインになっているかどうかでゲームの良し悪しが決まると思います。
先に結論を言うと、体験版の限りではそうはなっていませんでした。
このゲームの敵の攻撃への対処方法の難しさはやばいと思います。
敵の攻撃を対処する手段は回避、ガード、受け流し、スキルになります。ひとつずつ見ていきましょう。
・回避(厳密には3種類ありますが割愛します)
回避は発生が早く、無敵時間もそこそこありそうで、敵の発生の早い技にも対処しやすい信頼のおける防御手段です。しかし、回避終わり際は硬直もあり無防備なので、適当に回避を連打していても攻撃はかわせません。そしてスタミナを消費します。
・ガード
ガード性能によりますが、ダメージは100%カットではなく、そこそこ削られます。ガードへの移行に時間がかかるため、発生の早い技を見てからガードすることはできません。回避するタイミングがつかめていない時の妥協手段でしょうか。また、やはりスタミナを消費します。
・受け流し
雑魚敵には当身を取って大ダメージを与え、冥血(MP)の上限を増やしかつ回復します。ボスの場合は大ダメージではなく体勢を崩すことができます。基本的には相手の連続攻撃に割り込む形で使います。失敗すれば普通にダメージを負います。
当身を成立させるタイミングがかなりシビアで、さらに防具によって当身の発生速度が異なります。体験版の限りではわかりませんが、タイミングを取りやすくするために敵の攻撃速度によって防具を使い分ける必要があるかもしれません。やはりスタミナを消費します。
・スキル
高性能な回避ができますが、回避終わり際の硬直などはあるので過信はできません。冥血(MP)とスタミナを消費します。
これらからわかるやばさの一点目は、ボスを様子見する手段がないということです。
モンハンで言えばとりあえず敵の回りをぐるぐるしたり、SEKIROで言えばとりあえずガードしたりといった安全に相手を観察することができないのです。これは結構とんでもないことだと思います。何も得られずとにかく死ぬ、という時間が多くなることに繋がります。
そうなると基本的には相手の攻撃が見えたら回避、というのが一番の安全行動になります。回避する方向を大きく分けると前方向、横方向、後ろ方向の3つであり、これらを使い分けることが求められます。選択肢が限られているのであれば逆に対策がすぐに見つかりそうなものですが、そうはならないのが次の問題です。
攻撃判定がわかりにくいのです。なぜ食らったのかわからない攻撃が非常に多いのです。タイミングなのか微妙な方向なのか。正解の行動に導いてくれるような誘導は一切ありません。これは後述のRPG要素でチャラになるような問題とは思えません。
RPG
前述のアクション部分での難易度を調整する役割を持っています。これについてはバランスブレイカーとなる可能性をはらんでいるのでなんとも言えないところですが、体験版の限りではとてもよかったと思います。
武器防具の選択からレベル上げなどRPGの基本要素もりもりです。
やはりなんといっても育成それ自体の楽しみがありますし、レベルを上げてもいい意味で成長率が低いためゲームバランスも保たれてやすくなっている印象です。
ヘイズ(経験値兼お金)を割り当てることでプレイヤー自身のレベルが上がり、それに伴いステータスが上昇します。なお、レベルアップ時にパラメータの割り振りはできません。これは賛否が分かれるかもしれませんが、それがなくとも十分にキャラメイクの多様性があると思いますし(最終的には一緒になるかもだけど)、ある程度攻略の方向性を制限したいという製作者の意図が見えたので個人的には良いと思います。
そしてこのゲームの目玉がブラッドコードと呼ばれる職業システムです。
プレイヤーはブラッドコードにより戦闘スタイルを変化させることが出来ます。また、マスターしたスキルは他のブラッドコードでも使える(使えないのもある)ので、好みのスキルをセットすることができます。敵の弱点を突くことが出来ればごり押しもできてしまうのが少し気になりますがそれも攻略の一環でしょうか。また、回避性能の低い装備を付けていても、回避するスキルで短所を補ったりもできます。
恐らくはかなりの数のスキルがあり、例えば攻撃をキャンセルして回避できるようになるスキルがあれば良くも悪くもゲームを変えてしまうのでここがどうなっているかで評価は変わりそうです。
まとめ
バディの存在がゲームの攻略にあまり寄与していなかったり、ダンジョンのレベルデザインが1対多数が基本となっていたり、理不尽攻撃が多かったりその対処への誘導がなかったりとプレイヤーに何をさせたいかイマイチわからないなぁと感じた体験版でしたがなんだかんだ面白かったので製品版買います。
閃ジャンキーのためのおまけ
釈迦に説法とはこのこと。閃ジャンキーは常に見極めてます。
拠点にあるピアノです。一見何の変哲もない古いピアノ。
しかしピアノと言えばやはり閃の軌跡。普通のピアノは88鍵、しかし閃の軌跡のピアノはなぜか87鍵でした。
(詳しくは【閃の軌跡Ⅳ】ピアノの謎<グラフィックについてめちゃくちゃ細かい粗探し> - まゆげのゲームレビュー)
改めてコードヴェインのピアノを見てみましょう。
84鍵でした!閃の勝ち!