※本記事は、作品に対する否定的な意見を含みます。
お疲れ様だ!ふふ、こうして会うのは閃Ⅴのテキストランキング以来だな…。
(略)
閃と言えばテキストと演出の二枚看板です。なので、この記事では演出について触れたいと思います。特に回数は数えてないのでより感覚的な話になりますが、気になった演出と良かった演出をいくつかご紹介します。
気になる演出
作戦を開始する!
共通ポーズの使いまわしっぷりが光ります。こういうところでキャラの個性が見えるポーズにしてくれたら、だいぶ印象が変わると思います。
上から見下ろす謎の影
ありがたいことにこの演出は焦らしというよりかは次の展開への橋渡しなので、正体はすぐにわかるケースが多くもやっとはしません。こういったいわゆる神の視点は次の展開が理解しやすいので良いのですが、いかんせん多すぎる気がします。
あ、でも従来のねっとりカメラワークはかなり改善され、だいぶすっきりしました。
急にドイツ人になる
意図があるような気もしますがわかりません。
HPを減らせ!
言うなればストーリー上での負けが確定する瞬間です。同時に、引き延ばし確定でもあります。これ毎作品ありますけど、バトルのモチベーション&勝利時の達成感が著しく下がると思います。
みんな突進技をパナす
シュゴーからのドカーンで物言わぬ兵器が散っていきます。本来はめっちゃかっこいいシーンとして作られているとは思うのですが、キャラが変わってもやってることが同じなので変わり映えしない演出の一つになってしまっています。
ただ、後述しますが、対エンペラー戦でもアリオスがめくり突進するシーンがあるのですが、そちらはスピーディな展開の一部として格好良く機能していると思います。
ちなみに、Ms.イリアのスーパーイリュージョンショーが作中で5回くらいあったんですが、成功したところ見たことありません。
隙あらば昔話
ツァイトは数百年と生きていますから、いつ会っただの時間には無頓着な様子。からの
人の子の感覚持っとるやんけ。連休明けにクラスメイトに会ったみたいなセリフでもはや微笑ましくなります。
と、このようにキャラとキャラが顔を合わせるたびに〇〇以来だなって言います。隙あらば久闊を叙す。というか束の間でさえ叙す。確かに、顔を合わせるのが久しぶりであれば過去を思い返すのはごく自然です。なぜ不自然に感じるのでしょう。
何か遠い目をして過去に想いを馳せるので緊張感に欠けるということ、過去の事件が今となってはいい思い出みたいに語られている点にまず違和感があります。ユミルでのアルティナの謝罪のように、振り返りがストーリー上の意味を持つこともありますが、多くの場合は単なる会話の導入です。そしてそれがワンパターンなのです。
そもそも焦点を当てるべきキャラが絞り切れていないことと、舞台がずっと変わり映えしないということも要因のひとつです。それだったらやはり新キャラであるスウィン、ナーディア、ラピスにもっとセリフを与えるべきだったのではと思います。
各キャラクターのタイムテーブルの管理がばっちり、すなわち誰がいつどこで誰と何してたっていうのをきっちり把握していることは伝わります。確かに、これほど細かく管理できているRPGは類を見ません。また、積み重ねてきた物語の一端を振り返ることでファンサービスにもなっているのでしょう。ただ、いささかそれらのアピールが過ぎているとも感じます。キャラの立場になったとき、このようなセリフになるとは思えないのです。
存在意義アピール
『~として』、『~を含めて』、『~の意味でも』ってやつです。本当は、気になるテキストの方に載せたかったのですが、うまく落とし込めなかったのでこちらで紹介。
あれ?この人何で一緒にいるんだっけ?とは言わせません。無幻回廊では、みんながみんな自分の立場と戦う理由を説明してくれます。説明してくれるのはありがたいのですが、やはりその定型っぷりが気になります。
謎お色気
キャラのちょっと無防備な姿がシリアスパートとの対比になっており、キャラの魅力を引き出す演出、のはずですが、ちょっと時代遅れ感があってホワイトキックみたいな。
なんで普通に混浴してんの?っていう疑問には閃Ⅳでリィンさんが説明しています。
リィンさんなら「民族によっては衣服という概念も微妙に無いみたいだし」とか言っても通じるかもしれません。そうなったら最後、CEROでは対応できません。ていうかだから微妙にってなに。
よかった演出
仁王立ち
マテウス閣下の股間にモザイク入れてくれたら100点でした。次作に期待。
コント
他にも、
お色気含め、こういうのは好みの問題が強いので何ともですが、個人的には閃シリーズ全体を通して真っ当に笑えた数少ないイベントです。説明するのも無粋ですが、ティオとジンゴがきっちりボケとツッコミをこなしていて、セリフだけでもおもしろいですし、何よりポーズや構図がはまってます。
ケーキ入刀
ふつうに良すぎてびっくりしたイベントシーンです。
エンペラーの弱点を看破するナーディア、すかさず宝珠を斬り落とすアリオス、エンペラーの妨害を食い止めるラピス、ラピスを守るデュバリィ、遠距離から援護するレン、因縁に自ら決着をつけろと促すルーファス、そしてナーディアの手を引いてとどめをさすスウィン。
最低限のセリフとキャラの動き・表情でイベントシーンが成立しています。このイベントのいいところは、『左肩を落とす』っていうワンアクションを加えたことだと思います。この一手間で各キャラの役割と見せ場が明確になり、イベントの深みが増しています。これがなかったら、
左肩の宝珠が弱点だよ!さすがだナーディア!うぉぉぉぉー!ブシュー!さすがだねすーちゃん!完
他にも、ナーディアが黒の衛兵を脅すシーンなども描写が丁寧でした。”無限相克”とか言われるよりよっぽど苦痛が想像できるので、真に迫る凄みを感じられます。
ハイスピードモードなどのシステム関連
本作品は、最初からイベントを倍速化できたり、戦闘時の演出をカットすることができます。これはもう本当にありがたい。
この作品に限らず、日本ファルコムの作品はシステム面のユーザビリティへの配慮は凄まじくて、各種オプションや操作設定が充実しています。また、システムの説明もわかりやすくかつ丁寧な印象です。
カットイン
敵を崩した時の小気味良いSEからのめっちゃかっこいいカットイン。ラッシュとかバーストはBP消費量と見合ってない性能ですが爽快感があります。そしてぶっ壊れ性能のヴァリアントアタック。カットインの後はすべからく地味な絵面ですが、カットインがかっこいいから許せます。
つまりキャラデザ&イラストがいい
Cルートの面々は、旧作メンバーを交えながらも集まるべくして集まった感があり、めっちゃかっこいいパーティだと思います。この絵面が壮観です。
ちょっとした回想シーンのためだけに出てきた学院生時代のオーレリア(17)。このキャラをこのイラストだけで終わらすのはもったいないと思ったくらいかわいかったので紹介。
みっしぃの存在意義については結構疑問だったんですけど、この一枚で考えが変わりました。右手を上げるという一つのポーズだけでこんなにもキャラの個性を描けるのかと深く感動したイラストです。
キャラデザほんとすごいな、凝ってるな、って思うんです。このキャラデザの細やかさとセリフ&演出の浅はかさとの乖離が凄まじいのがほんと謎です。キャラデザインの方向性を示すのはライター側でしょうが、その指示を超えたデザインを生み出しているように思えます。『黒髪口調硬めベルトマシマシ属性全マシ』みたいな注文で、『あいよ!リィン一丁!』みたいにパっとデザインできちゃうような超有能デザイナーさんなのでしょうか。
まとめの感想
話が脱線しそうなのでまとめると、キャラデザイナーやイラストレーターの人の意図というか、キャラに込めた想いが、セリフ・演出に正しく反映されていない部分が多くあるように感じます。前述の通り、同じモデルを用いながらも既存からうまく脱却した新しさを感じる演出もあります。これがもし全編を通してかなったら傑作間違いなしだと思う、ということです。
それでは、閃の軌跡Ⅵでまたお会いしましょう。
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